イギリスのボイラーシステム

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ボイラーの種類とメリット・デメリット

いよいよ冬本番を迎えるロンドンですが、2024年の冬は例年よりも寒くなるとの予報が出ています。寒さが厳しい季節を快適に乗り切るためには、安定したお湯や暖房を供給するボイラーの管理が欠かせません。日本では給湯器と暖房は別々に設置されていることが一般的ですが、イギリスでは多くの住宅がボイラーシステムを利用してお湯や暖房を供給しております。

今回のニュースレターでは、ボイラーの種類についても詳しくご説明いたします。寒い冬を安心してお過ごしいただけるよう、ぜひご一読ください。

 

イギリスでの一般的なボイラーシステムには、主に3種類ございます。

・コンビネーションボイラー(Combination Boiler)

・システムボイラー(System Boiler)

・電気式タンクボイラー(Electric Tank Boiler)

それぞれの特徴やメリット、適した住居環境について解説します。

 
1. コンビネーションボイラー (Combination Boiler)

概要:
コンビネーションボイラー、または「コンビボイラー」は、現在イギリスで最も一般的に使用されているボイラーシステムです。このボイラーは、湯沸かしタンクや貯水タンクを必要とせず、水道水を直接加熱して瞬時に給湯と暖房を供給します。(瞬間湯沸かし器)

特徴とメリット:

スペース節約: 貯湯タンクが不要なため、設置スペースが少なくて済み、比較的小規模な住居にも適しています。通常、キッチンに取り付けらていることが多いです。
即時給湯: 必要な時に瞬時にお湯を供給できるため、シャワーや洗面に便利です。
効率的なエネルギー使用: 給湯を使う時だけ水を加熱するため、エネルギー消費が効率的でガス代が抑えられます。

デメリット:

給湯能力の限界: 同時に複数の蛇口を使用すると水圧が低下しやすくなるため、大きな家族や複数バスルームを持つ家には不向きです。
給湯温度の安定性: 水圧や温度が一定ではないため、使用状況により温度が変動することがあります。
給湯・暖房の両立:こちらのボイラーにより給湯・暖房の両方を兼ねているため、ボイラーが万が一機能しない場合には、給湯・暖房の両方が止まってしまいます。


適した環境:
小〜中規模の住居や、バスルームやキッチンの数が少ない家庭に最適です。

 
2. システムボイラー (System Boiler)

概要:
システムボイラーは、貯湯タンク(お湯を貯めるタンク)が設置されたシステムで、お湯は貯湯タンクから、暖房は湯沸かし器から家全体に安定した給湯と暖房を供給します。このボイラーには、主な構成部品が一体化されているため、より効率的かつ安定した給湯を実現しています。

特徴とメリット:

複数同時使用: 貯湯タンクがあるため、複数のバスルームや蛇口を同時に使用しても水圧が低下しにくく、大家族やバスルームが多い家にも適しています。
安定した温度: タンクにお湯を貯め、電熱棒によって温度が一定に保たれるため、給湯温度が安定し、シャワーやバスの使用時に快適です。
※コンビボイラーに比べてやや高いエネルギー消費になりますが、最新の機種では効率が良く、省エネ設計が施されています。

給湯・暖房の独立性:万が一故障などにより、ガスの供給が無くなった場合にも、電気により湯沸かしが可能です。

デメリット:

スペースが必要: 貯湯タンクが必要なため、タンク設置用のスペースを確保する必要があります。
給湯待ち時間: 貯湯タンクのお湯が使い切られると、再度加熱するまでの時間が必要です。
※タンクのサイズにもよりますが、30分~1時間程時間を要します

適した環境:
中〜大規模の住居や、バスルームやキッチンが複数ある家庭に向いています。

 
3. 電気式タンクボイラー (Electric Tank Boiler)

概要:
電気式タンクボイラーは、ガスではなく電気でお湯を加熱するシステムで、貯湯タンクが付属しています。このボイラーは電力を利用するため、ガスが供給されていないエリアや、環境に配慮した選択肢として普及しています。

特徴とメリット:

ガス配管不要: 電気を使用するため、ガス配管がない住居や、ガス供給が難しい場所での使用が可能です。
安全で環境に優しい: ガス漏れや一酸化炭素中毒のリスクがなく、二酸化炭素排出が少ないため、環境負荷を低減できます。
メンテナンス:ガスボイラーに比べて、メンテナンスが簡単で、故障が少ない傾向があります。

デメリット:

ランニングコスト: 電気代がガスより高いため、ランニングコストが高くなる傾向があります。
※電気料金の安い夜間にお湯を貯めておくことが可能で、経済的な運転が可能です。

給湯待ち時間: 貯湯タンクのお湯が使い切られると、再度加熱するまでの時間が必要です。電気はガスに比べて加熱が遅いため、大きなタンクを使用する場合には時間がかかることがあります。
※再沸騰にかかる時間はボイラーの容量や設定温度、エネルギー供給源、モデルなどにより異なります

高い電力消費:大量の電力を消費するため、電力供給に制限がある場合は注意が必要です。
 

適した環境:
ガスが使用できない住居、または小規模住居や二次的な給湯手段として利用する場合に適しています。

 

!セントラルヒーティング

イギリスのヒーティングシステムはボイラーと密接に関係しております。セントラルヒーティングと呼ばれるこちらのシステムは、基本的に「ボイラー」「パイプ」「ラジエーター」の3つの要素で構成されており、ボイラーで加熱したお湯をパイプを通して各部屋に設置されたラジエーターへ送り、部屋を温めます。

 

主な構成

ボイラー:お湯を加熱する装置で、コンビボイラー、システムボイラーなど。
パイプ:加熱されたお湯をラジエーターに運ぶ配管システム。
ラジエーター:各部屋に設置され、ボイラーから送られたお湯で温まることで部屋全体を暖かくします。
 

寒さが厳しくなる中、冬の準備として、暖房と給湯を支えるボイラーの管理はとても重要です。日本と異なり、イギリスの住宅では個別のボイラーシステムが一般的で、それぞれ特徴が異なるため、用途や住居環境に適したボイラーを理解し、適切に維持することが快適な生活のカギとなります。

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