コンテンポラリー (Contemporary)
時代: 2000年頃から現在
背景: 持続可能性、高密度化、都市再生、環境性能、現代的な住まい
コンテンポラリー様式は、2000年頃から現在までの21世紀の建築を指します。これまでの時代様式と異なり、特定の装飾や外観だけで定義することは難しく、むしろ持続可能性、エネルギー効率、都市再生、高密度化、デジタル設計、現代的な生活様式によって特徴づけられます。
英国では、住宅供給不足、都市部の人口増加、ブラウンフィールド再開発、環境規制の強化が、建築と不動産市場に大きな影響を与えています。ロンドンでは、キングス・クロス、バターシー発電所、グリニッジ半島、クイーン・エリザベス・オリンピック・パークなど、大規模な再開発が都市景観を大きく変えました。
住宅では、新築フラット、再開発エリアの高層住宅、パッシブハウス、低炭素住宅、ヴィクトリアンやエドワーディアン住宅の現代的な拡張、ロフトコンバージョン、サイドリターン・エクステンションなど、多様な形でコンテンポラリーな建築が見られます。
この時代の建築は、見た目だけではなく、断熱性能、気密性、設備効率、環境基準、使いやすい間取りを含めて評価することが重要です。
歴史・文化的背景
21世紀の英国建築を理解するうえで、環境性能と都市再生は欠かせません。2008年の気候変動法、建築規制 Part L の更新、BREEAM、Passivhaus、低炭素設計への関心が、建築の設計と評価に大きな影響を与えています。
ロンドンでは、かつての工業地、鉄道用地、発電所、港湾エリアなどが、新しい住宅、オフィス、商業施設、公共空間へと再生されました。キングス・クロス、バターシー発電所、オリンピック・パーク、グリニッジ半島などは、現代ロンドンの都市再生を象徴するエリアです。
住宅市場では、都心居住の需要が高まり、新築フラット、タワーマンション、複合用途開発が増えました。一方で、既存の時代物住宅を改修し、現代的な裏側拡張、オープンプランのキッチン・ダイニング、ロフトコンバージョンを加えるケースも非常に多くなっています。
また、地域の素材や伝統を現代的に再解釈するコンテンポラリー・ヴァナキュラーの考え方も注目されています。これは、単にガラスと金属を使った新しい建物ではなく、その場所の歴史、気候、街並み、素材感に調和する現代建築を目指す考え方です。
建築的特徴
外観
- 高断熱・高気密の外皮。外観だけでなく、壁・窓・屋根の性能が重視される
- 高性能な複層ガラスまたはトリプルガラス。細いアルミフレームが使われることも多い
- 大きなガラス開口。特に庭に面した裏側立面やリビングに多い
- バイフォールドドアやスライディングドア。室内と庭・テラスをつなぐ
- 複合素材のファサード。レンガ、木材、レンダー、亜鉛、テラコッタ、金属パネルなどを組み合わせる
- 太陽光パネル、ヒートポンプ、緑化屋根。環境性能を示す要素
- フラットルーフと切妻屋根の混在。周辺環境やデザイン意図によって異なる
- 高密度集合住宅。都心部では、1階に商業施設、上階に住宅を置く複合用途開発が多い
- 現代的な裏側拡張。古い時代物住宅の背後にガラスやレンガの新しい空間を加える
- ロフトコンバージョン。既存住宅の屋根裏を居住空間として活用する


住宅形式
コンテンポラリー期の住宅は非常に幅広く、以下のようなタイプがあります。
- 新築フラット・高層住宅
- 都市再開発エリアの複合用途住宅
- 低炭素・パッシブハウス認証住宅
- 全国規模ハウスビルダーによる新築住宅地
- 建築家設計の個人住宅
- ヴィクトリアン、エドワーディアン、戦間期住宅の現代的改修
- 倉庫やオフィスから住宅への転用
- ロフトコンバージョン、サイドリターン、リアエクステンションを備えた既存住宅
コンテンポラリー物件を評価する際には、デザインだけでなく、EPC、断熱、換気、冷暖房、管理体制、保証、サービスチャージ、建物規制への適合などを総合的に見る必要があります。
インテリアと装飾
コンテンポラリー住宅のインテリアは、オープンプラン、キッチン中心の生活、屋外空間とのつながりが大きな特徴です。
- オープンプランのキッチン・ダイニング・リビング
- アイランドキッチン。家族や来客が集まる中心的な空間
- 大きなガラス開口。庭やテラスへの視線と動線を確保
- 自然素材とニュートラルな色調。オーク、石材、マイクロセメント、露出レンガなど
- マットブラックやブラッシュメタルの金物
- 大判タイルやエンジニアド・ウッドフローリング
- 造作収納。すっきりとした室内を保つために重要
- 省エネ設備。床暖房、ヒートポンプ、MVHR、スマートホーム機能など
- 低VOC塗料や認証木材。健康と環境に配慮した素材選び
- 屋外空間との一体化。デッキ、パティオ、テラス、ガーデンルームなど


現代の住宅では、見た目の美しさだけでなく、日常の使いやすさ、収納、音環境、断熱、換気、自然光、在宅勤務への対応などが重要です。
Kens Estateの視点では、コンテンポラリー物件は「新しいから安心」と単純に判断せず、建物保証、EPC、管理費、サービスチャージ、修繕計画、共用施設、採光、騒音、周辺再開発計画などを確認することが大切です。特に新築フラットや大規模再開発エリアでは、建物単体だけでなく、エリア全体の成熟度も資産性に関わります。
物件識別のポイント
コンテンポラリー物件の典型的特徴:
- ✓ 2000年以降の建築または大規模改修
- ✓ 高性能な複層ガラスまたはトリプルガラス
- ✓ オープンプランのキッチン・ダイニング・リビング
- ✓ 大きなガラス開口、バイフォールドドア、スライディングドア
- ✓ レンガ、木材、レンダー、金属など複合素材の外観
- ✓ 太陽光パネル、ヒートポンプ、緑化屋根などの環境要素
- ✓ 新築フラットでは、共用ロビー、リフト、セキュリティエントリー
- ✓ 居住者用ジム、コンシェルジュ、ルーフテラスなどの共用施設
- ✓ 既存住宅では、現代的なリアエクステンションやロフトコンバージョン
混同されやすい時代: モダン期、改修済み時代物住宅
コンテンポラリー物件は、1970年から2000年頃のモダン物件と混同されることがあります。違いは、環境性能、断熱、気密、設備、規制への対応にあります。2000年以降の物件では、EPC、建築規制、エネルギー効率、持続可能性がより重要な評価軸になります。
また、ヴィクトリアンやエドワーディアン住宅に現代的な拡張を加えた物件も、部分的にはコンテンポラリーといえます。この場合、正面ファサードは時代物で、裏側や内部が現代的に改修されていることが多いため、「建築年代」と「改修年代」を分けて見ることが重要です。
代表的事例
コンテンポラリー建築は、ロンドンを中心とする大規模再開発、低炭素住宅、文化施設、住宅拡張、タワー型住宅などに幅広く見られます。
ロンドンで物件を検討する際には、キングス・クロス、バターシー、グリニッジ半島、ストラトフォード、ナイン・エルムズ、カナリー・ワーフ周辺などに、コンテンポラリーな住宅開発が多く見られます。一方で、既存住宅地では、ヴィクトリアンやエドワーディアン住宅に現代的な拡張を加えた物件も多く、エリアの歴史と現代的な住みやすさを両立する選択肢となります。
住宅・都市住宅の代表例
- ゴールドスミス・ストリート(ノーリッチ、2019年)、低エネルギー住宅の代表例
- アコーディア(ケンブリッジ、2000年代)、現代的な住宅地計画の代表例
- キングス・クロス再開発(ロンドン)、住宅・オフィス・商業・公共空間を含む都市再生
- バターシー発電所再開発(ロンドン)、歴史的建築と新築住宅を組み合わせた大規模再生
- クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク周辺住宅(ロンドン)、オリンピック後の都市再生
- グリニッジ半島の住宅開発(ロンドン)、高密度住宅と都市再生の例
公共建築・関連建築の代表例
- テート・モダン スイッチ・ハウス(ロンドン、2016年)、現代的な文化施設
- V&A ダンディー(ダンディー、2018年)、現代建築と地域性の融合
- マギーズ・センター各施設(英国各地)、建築家による小規模公共建築の代表例
- BedZED(ハックブリッジ、ロンドン、2002年)、持続可能な住宅開発の先駆例
- ライトハウス(2007年)、英国初期のネットゼロ・カーボン住宅の例
- ワン・ブラックフライアーズ、ストラタSE1、ディーンズゲート・スクエア、21世紀の高層住宅の例
掲載画像について
このページに掲載している画像は、建築様式や住まいの雰囲気を説明するための参考イメージです。当社で取り扱っている売買物件・賃貸物件の実際の写真、または特定の物件を示す画像ではありません。
その他の建築様式

ジョージアン Georgian
左右対称の外観と整然と並ぶ窓、高い天井が特徴。端正で均整の取れた英国住宅様式です。

リージェンシー Regency
白いスタッコ外壁や優雅な曲線、装飾的なバルコニーが特徴。ロンドンの上品な街並みを代表します。

ヴィクトリアン Victorian
レンガ造りの外壁、出窓、装飾的なディテールが特徴。現在も英国各地で多く見られる住宅です。

エドワーディアン Edwardian
明るく広い室内、大きな窓、広めの間口が特徴。ヴィクトリアン住宅より開放的な傾向があります。

戦間期 Interwar
ベイウィンドウ、瓦屋根、前庭を備えた郊外住宅が中心。実用性とゆとりを重視した住宅です。

戦後 Post-war
住宅不足への対応から大量に建てられた、簡素で機能的な住宅。戸建てから集合住宅まで幅広く見られます。

モダン Modern
装飾を抑えた外観、開放的な間取り、大きな窓が特徴。機能性を重視した住宅デザインです。